ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > カテゴリ > 事業紹介 > 中小企業と技術の出会いの場「TIRIクロスミーティング2024」開催レポート

中小企業と技術の出会いの場「TIRIクロスミーティング2024」開催レポート

印刷用ページを表示する 更新日:2024年8月15日更新

トップ画像

2024年7月17日(水曜日)、東京都立産業技術研究センター(以下、都産技研)にて「TIRIクロスミーティング2024」が開催されました。本記事では、当日の模様のレポートをお送りいたします。​

(外部リンク)

ポスターセッションによる技術シーズの解説

「TIRIクロスミーティング」は、都産技研の技術シーズをわかりやすく紹介し、中小企業との技術マッチングを促進するイベントです。今回は2020年以来4年ぶりとなる、都産技研本部(江東区青海)での開催。当日は中小企業の方々や研究者をはじめ、多くの皆さまにご来場いただきました。

本部中2階のイベントスペース「東京イノベーションハブ」では、都産技研の技術シーズを紹介するポスターセッションが開かれました。材料・バイオ・機械・エレクトロニクスなど幅広い分野にわたる31種類の技術シーズについて、開発に携わった各研究員が直接説明を行うものです。ポスターの前では、来場者の方々が研究員に直接質問をしたり、技術相談を持ちかけたりする様子が見られました。

情報分野では「移動ロボットによる物体変化検出のためのAI学習機能」について、情報システム技術部 ロボット技術グループ 武田 康司が説明を行いました。建物内を移動するロボットに異物などを検知する機能を低コストで導入するためには、画像内の変化を検出するAIをいかに人手の作業を最小限にして学習させるかがポイントになります。従来は人の手で作成していた訓練用教師データを、自動的に大量に生成する手法を開発することにより、作業時間の削減と検出性能の向上が見られました。

「建物内で撮影した画像に、異物の画像をランダムに合成したデータを大量に作り、そのなかからより“リアル”に見えるデータをAIによって厳選することで、品質の高い訓練用教師データを自動生成することが可能になりました。工場内の点検ロボットなどへの応用を考えています」(武田)

情報システム技術部 ロボット技術グループ 武田 康司 写真
​情報システム技術部 ロボット技術グループ 武田 康司

また、材料分野では「希土類フリー赤色蛍光体の創成」について、機能化学材料技術部 マテリアル技術グループ 藤原 千隼が説明を行いました。従来の蛍光体材料には、Ce(セリウム)やEu(ユウロピウム)といった希土類元素が用いられており、その希少さから調達コストや環境負荷が課題となっていました。本研究では、希土類元素を含まない青色蛍光体Cs2ZrCl6(セシウムジルコニウム塩化物)に着目し、塩素を部分的にヨウ素に置換することで、青色~赤色の蛍光色が制御できることを確認しました。

「本研究で開発した粉末蛍光体は、ヨウ素の組成を変えることで任意の蛍光色を作ることができるだけでなく、従来の蛍光体と同等の発光効率を達成しています。将来的には希土類を用いた蛍光体の代替素材として、白色LEDの開発に貢献できればと思います」(藤原)

機能化学材料技術部 マテリアル技術グループ 藤原 千隼 写真
機能化学材料技術部 マテリアル技術グループ 藤原 千隼

 

都産技研本部の実験室を23ヵ所公開

「TIRIクロスミーティング2024」では実験室公開も行われ、都産技研本部が保有する実験室から23ヵ所を公開したほか、テレコムセンターに構える5G・IoT・ロボット関連の施設の見学会を行いました。来場者はそれぞれ興味のある実験室を訪れ、研究員の説明に耳を傾けていました。

「第2照明実験室」では、さまざまな光源を評価する測定装置が展示されていました。球体の装置内に試験品を設置してその明るさ(ルーメン)を測定する「球形光束計」や、照明器具からどの方向にどれくらい光が出ているかを測定する「配光測定装置」といった大型の測光設備には、その形状の特殊さから来場者の注目を浴びていました。

また、「深紫外線イメージング技術」のデモンストレーションでは、目に見えない深紫外線がカメラに捉えられていることが確認でき、紫外線殺菌製品などの漏れ光の測定など、応用範囲について説明を聞くことができました。

球型光束計
​球型光束計


「AM(3Dプリンター)ラボ1」では、金属粉末AM(3Dプリンター)で生成された造形品が展示されていました。その内容は、手のひらサイズの船や、メッシュ状に線が入り組んだブロック、50cmほどの大きな部品までさまざま。

ラボではチタン合金や純銅など、さまざまな金属材料での部品試作を造形から後処理まで一貫して支援しており、その造形品は0.3ミリメートルもの細かい凹凸も生成可能です。自動車部品など実際に製品として使えるレベルのものも生成でき、来場者の方々は金属粉末AMの可能性について研究員に質問を重ねていました。

金属3Dプリンターでの試作品
金属3Dプリンターでの試作品

都産技研では、市場の要求に応じた製品の改良やコスト削減、新規アイデアの具現化など幅広い開発プロセスでの協力が可能です。クロスミーティングでの出会いが、新たな製品開発のヒントや、機器利用や共同研究などのきっかけになりましたら幸いです。


(外部リンク)

お問い合わせ先

技術相談依頼試験・機器利用について

技術相談受付フォームはこちらから(外部リンク)

TIRI NEWSへのご意見・ご感想について

TIRI NEWSへのご意見ご感想フォームボタン

※記事中の情報は掲載当時のものとなります。


ページの先頭へ